はらまちピープル

人見知りで話すことが苦手だった僕が、
仕事のおかげで人好きな性格に変わりました。
かつしかセンター ずいうんチーム
田谷(たや)さん

2013年入職、東京都出身、神奈川県の大学で経営を学び、在学中に参加した原町成年寮でのボランティア活動をきかっけに、3ヶ月のアルバイトを経て正職員になる。現在はグループホーム主任。


初めて障がいのある人と接する不安はすぐに消えた

ゆとりある敷地で、明るい日差しが差し込むグループホーム(以下GH)で、障がいのある利用者10名の支援をしている田谷さん。ここで、食事の配膳、入浴時のフォロー、洗濯や掃除が苦手な方の手伝いなど、利用者ご本人だけでは難しい身の回りのサポートをしている。夫婦として自立生活を目指す2名が住む住宅も近所にあり、その支援にもあたっている。

「就職したきっかけは、大学生の時、知人に誘われて、法人内にある奥戸福祉館で開催された催事へのボランティア参加でした。当時の所長と親しくなり、何度かボランティアに通ううち、アルバイトに来ないかって誘っていただいたんですよ」と、笑顔で明るく話しながら、テキパキと片付けをする田谷さんだが、以前は人見知りで内向的な性格だったという。
「大学時代、自分の性格を変えたくて、飲食店など接客業のアルバイトでいろんな人と接してはいたんですけど、障がいのある人とは経験がなくて。正直、最初はどうしていいかわからなくて怖かったです。でも、お祭りや施設の作業、公園清掃なんかに一緒に参加して、お酒も一緒に飲むと、みんな素直で面白いんですよ。大酒飲みの人、甘いものばっかり食べる人、趣味の話で盛り上がる人なんかいて。“なあんだ、健常者と同じなんだ”って思って。そんな交流が、自分も素直になれて楽しくなったんですよね」

話すことを躊躇する余裕はなく、気づけば話好きに

ボランティアから3ヶ月のアルバイトを経て正職員となり、人間味溢れる仕事にすっかりなじんだという田谷さん。
「このGHは、障がいの程度が比較的軽度の方が利用されているので、おしゃべりもよくされるし、日々テレビやラジオから情報集取して、みなさん、ものすごく物知りなんです。政治や芸能の話は自分よりずっと詳しくて、“え?そうなの?すごいですね、よく知ってますね” なんて、感心しながら教えてもらって。年上の方が多く、みなさん人生のベテランですからね。こちらが育てられている感じです」

そんな田谷さんは、自分に自信がない若者にこそ、この仕事に携わってもらいたいと考えている。
「かつての僕みたいに、福祉を学んでなくて、人と話すのが苦手で、“自分はコミュ障だ”って思う方でも、ここで働いてみてくれたらいいなあと。いろんな利用者の方から声をかけられ、質問もされ、何を話そうか躊躇している余裕はないんで、気づいたらいつの間にかコミュニケーション好きな性格に変われちゃうと思うんですよね」
田谷さんの経験談からは、変わることができそうに聞こえてしまうが、会話がうまくいかない場合や受け答えに悩むこともあるはずだ。

「いやもう、最初から“名前は?どこから来たの?駅はどこ?”みたいに、人懐っこい利用者の方々から質問のシャワーを浴びるんですよね(笑)、だからすぐに慣れます。それと、僕も悩んだ時期がありますが、ありがたいことに、法人内は風通しがよく相談しやすい環境。他の事業所ですが、福祉に限らず幅広い分野の勉強をされて、実績も出されている先輩がいて、希望したら時間をとってマンツーマンで研修をしてくださって。傾聴やコーチングのノウハウを教えていただき、すぐ現場で実践したら、ものすごく役立ちました。本当に利用者の方たちが嬉しそうにどんどん反応が前向きに変化するのがわかるので、つい自分も嬉しくなって、コミュニケーションに拍車がかかりましたね(笑)」

仕事で培ったコミュニケーション力が人生が豊かにしてくれた

田谷さんは、職場から1時間以上離れた場所に住み、通勤時間中にオンとオフを切り替えているという。それでも、家の近所で買い物に出かけた時など、困っていそうな人がすぐ目についてしまうそうだ。
「無意識のうちに、困っている人はいないか探してしまうんでしょうかね。“大丈夫ですか?手伝いましょうか?”とすぐに声をかけてしまうので、妻から“職業病ね”と笑われます。でも、“助かりました、どうもありがとう”と喜ばれると、僕だって、ああ、役立ってよかった、と幸せな気分になれる。人助けのコミュニケーションは、やはり人生を豊かにします」

プライベートでは若い頃からバイクが趣味だったが、一人旅は誰にも声をかけられないので苦手だったという田谷さん。今では行く先々でお店の人に話しかけるなど、誰とでも親しくなれるので、一人旅を満喫するようになり、同じバイク旅をしても昔と今の自分を別人のように感じるそうだ。
「人と話すのが楽しくなって、人生そのものが楽しく、豊かになりました。この仕事のおかげですね」

公開日:2024年12月17日